初めての海外はカナダだった。
バイトにバイトを重ねて貯めた資金で1年間のカナダ滞在
(父から、海外に行くなら勘当だと言われていたので、直前まで秘密にしていた)
成田空港からまずはニューヨークに向かい
従兄弟の家に一泊してから
翌朝早くにカナダに向かうというスケジュール
だから、せっかく行ったけど
従兄弟の車の窓からしかニューヨークの街を見ていない
何せ、使えるお金がギリギリで
のんびりと観光する余裕はない
空港のカナダ行きエリアは思ったよりもこじんまりしていて
迷いようもなかったけれど
何せたった一人で、初めての海外
チケットと電光掲示板とを何度もなん度も見比べて
しっかり確認、そして搭乗
飛行機は2座席が2列
私の隣には誰もいず
のんびりと窓の外を眺めていた
しばらくして、アナウンス
セントジョンに着陸します
セントジョン?
私の行き先はフレデリクトン
慌ててチケットを確認する
トランジットするってこと?
システムがわからない
頭をひねっている間に飛行機着陸
私以外の乗客全員が降りてしまった
給油してまた飛び立つはず と
(バスだってそんなことしませんが 知らないって怖い)
不安なまま席に座っていると
スチュワーデスさん達が
私の方を見ながら話している
一人近づいてきて
「ここまでだから、降りてください」
「でも、私、フレデリクトンに行きたいの」
と、食い下がる私
まず、セントジョンがどこにあるのかさえ知らない
頼みの綱の『地球の歩き方』はスーツケースの中
明日には必ずフレデリクトンにいなくちゃならない
なのにここで見当違いの場所に降ろされて
知らない街に一人 おいてけぼりをくらったら…
詳細を知るまでは
絶対に飛行機から降りるわけにはいかない
(今だったら警察呼ばれるかも?)
チケットを見せて
「ほら まちがえてないでしょ!」 と言ってみる
(ほとんど駄々っ子です)
とうとう、スチュワーデスさん達に集団で囲まれてしまった
チケットを見ながら
ああだこうだと相談し始め
その内、ある結論に達したらしく
(アジアからこんな遠くまで健気に一人でやってきた
訳あり中学生(?) と 私のことを思ったらしい)
言葉がよくわからないであろう私にも理解できるよう
ゆっくりと噛んで含めるように
身振り手振りもつけながら
「この飛行機はフレデリクトンには行かないわ
降りたら インフォメーションに行って
チケットを見せてね
場所はあっち行ってこっち行って うんぬんかんぬん
大丈夫よ きっとどうにかしてくれるから」
きっと?
どうにか?
してくれなかったらどうなるのでしょうか…。
疑問が頭の中を渦巻き続ける が
こんな優しい声で一生懸命に諭されては
自分の状況がどうなっているんだか
ちんぷんかんぷんでも
さすがに 降りるしかない
(迷った時にはまず止まれ がモットーの私であるが)
すごすごと飛行機から降り
インフォメーションに向かった
すみません 2に続きます