JuniperBerry’s diary

日々感じたことや ふと思い出した事を 書いてます

実家は甘味ですったもんだ (おまけ:お勧め 京都の水羊羹)

今週のお題「あまい」

 

と、お題を書こうと思ったら

既に期限切れになっておりました

ですが せっかくなので…

 

父母と弟と私の内 甘いものが好きなのは

父と私の二人

 

後の二人は、目の前にあれば食べるけれど

それほどこだわりはないらしい

 

父はお酒もタバコもやらない代わり

甘いものがめっぽう好きで

パンを買う時も

ジャムパンやクリームパンばかりで

惣菜パンを買っているのを見たことがない

 

そんな父だから 何にでも砂糖をかける

後から友達にドン引きされたけれど

父の定番で 子供たちも時々お相伴に預かっていたのが

鮭の水煮に マヨネーズと砂糖を混ぜてかけたもの

トマトには塩ではなく 砂糖をかけていた

 

それだけ甘いものが好きなのに

父なりにダイエットをしていた

その頃はまだ 聞いたことさえなかった

りんごダイエット(これは便秘対策だったのだろうと思うが)を

真っ先に取り入れて、

毎日ビタミンBやEのサプリメントを 摂っていた

 

まだ小学生の私に サプリメントを勧めてくるとは

なんとも変わった父親ではあったが

なにしろ砂糖好きの 健康オタクではあった

 

父は結核で伏せっていたことがある

その時

医者からは もうだめだ、と言われ

家族も諦めていたにもかかわらず

根性&自己流で治したという強者

そこから自己流健康法に拍車がかかった

 

それに加えて

私が生まれる前に亡くなった

父の母(私の祖母)は糖尿を患っていたそうで

だから、父の体型は肥満というほどではなかったけれど

糖質を 気にしていたらしい

(にもかかわらず、なんでジャムパン)

 

けれど、やっぱり それでも甘いものが大好きで

人生から締め出すことはできなかった

(だからジャムぱん)

 

親戚から毎年送られてくる

虎屋の羊羹

 

ダイエットしているなら

いっそのこと見なきゃいいのに 

そして、食べなきゃいいのに

 

お礼状にどんな味だったか書かなければならない

よって、食べてみなくてはならないと

 

毎年おなじものが送られてきているんだから

味を知っているだろうに

毎回 食べる

 

その食べ方が…

羊羹を1mm厚さにスライス というもの

 

向こう側が透けて見えるくらいの

食べたんだか食べてないんだかわからないような

ぺっらぺらのこれは 

「羊羹にして(どうみたって)羊羹にあらず」

 

自力で立てない羊羹なんて、羊羹じゃないっ❗️ と思いませんか

 

それを父は 

これが羊羹の一番美味しい食べ方である と言い張り

他の家族にまで勧めてくる

 

ちなみに虎屋の羊羹は私の大好物

とくに おもかげが好き

それも、厚く切った羊羹の

むみゅっ とした食感がなんとも言えない

2cm厚みほどの羊羹で 幸せ度 大幅アップ

 

ところが、私が羊羹を厚く切って 

さあ 食べよう🎶 となる度に

父は「そんなに太く切るのは野暮だ」と言ってくる

 

そのうち弟まで スライス羊羹派になり

私以外の全員が 羊羹の薄さを

競いあうようになってしまった

 

カトンボみたいな羊羹食べたって 

食べた気にならないし 味もわからないでしょう 可哀想に! と

馬鹿にしていた私だけれど

 

そのうち

なんだか自分ばっかりが 除け者にされているようで

薄い方がもしかしたら美味しいのかも 

なんて思ってしまうから 不思議

(食べればやっぱり 美味しくもないし、

全く食べた気にならないけれど)

 

このペラペラ問題は 羊羹に留まらない

ケーキだって クッキーだって おまんじゅうだって

父と母と弟は

なんでもかんでも 薄く切って食べるようになった

 

お客さんが来た時に

お菓子は薄い方が美味しい と 

思い込んでいる弟が

「美味しい食べ方を教えてあげる」と

言い出した時には

さすがの父も(顔には全く出していなかったが)相当 慌てたと思う

 

家族がみんな こんな風では

私の菓子皿に乗る量まで 他に合わせて小さくなる

 

そんな風欲求不満の溜まり続けていた

ある夏の日

私が冷蔵庫の中に 見つけたもの

 

それは 水羊羹

あの、昔懐かし アルミカップを 

ぱかっと開けるタイプ

その時は 頂き物があったらしく 8つも入っていた

甘いものの誘惑は逃れ難い 

 

「一つくらい食べちゃっても大丈夫、気づかれないはず」

そっと取り出し、周りを見まわす

OK  誰も見ていない

缶の蓋を音を立てないよう ゆっくり開ける

 

中から出てきたのは

プルンプルンで つっやつやの

翳った空をその身に取り込んだ 紫水晶のような

水羊羹

なんて綺麗なんだろう 美味しいものは美しい 

 

うっとりしながら

蓋についている 小さなプラスティックのスプーンを取り外し

薄紫色の中に差し入れる

すうっと入っていくようでいて、微妙に粒子を感じるこの感触

1mmなんぞでは到底味わえない 抵抗感

 

一口食べれば ひんやりとした塊が 口の中でじわっと崩れ

喉をするっと流れ落ちていく

ああ、これぞ夏の味

 

幸せにどっぷりとひたっていたその時

私の耳に聞こえてきた 誰かの足音

 

まずいっ

 

慌てた私は

せっかくの水羊羹の残りを 一口で口の中へ

蓋をはめて そのまま冷蔵庫の中に入れ

(なぜか)忍足で 居間へとこっそり抜け出した

そこから2階の自分の部屋へダッシュ

足音は 多分 母だったのではと思うけれど

見ていないから定かではない

なにしろ、どうにか逃げ切った

 

 

それから何日かして 伯母が遊びに来た

遠いところを暑かったでしょうと まずは客間に通し

母がお茶とお菓子を持ってきた

 

お盆の上には麦茶と水羊羹

親戚だから、菓子器に出して なんて

お上品なことはせず

水羊羹はカップのまま

 

もうお分かりと思う

叔母が取り上げて プラスチックの蓋をカパっと開けた

その中は

 

からっぽー

 

「あら?」

 

お上品な伯母の めずらしく驚いた声に

母が覗き込んで 大慌て

他の水羊羹のカップの蓋(アルミの上にかぶさっているもの)を

全部開けて 確認しだした

 

状況を把握した私は蒼白 

そう、あの盗み食いの後

冷蔵庫に隠したっきり 捨てておくのを忘れてた

 

その場は大爆笑で おさまったけれど

後から大目玉をくらいました とさ

 

そんな 思い出があるのは井村屋の水羊羹

そちらも懐かしくて好きなのですが

 

今 一番好きなのは

京都祇園にある 甘泉堂さんの水羊羹(4月から9月の季節限定)

京都に来て 初めの頃に伺って

そのみずみずしさと 

すっきりとして繊細な甘さの 虜になりました

 

お店のおばさんが 

つっけんどんな口調で

持ち帰りの仕方から 食べる期間の指定から

説明してくれます

そのギャップも楽しくて

 

細い路地に面したお店で

ちょっと見つけにくい場所にあるのですが

祇園祭も 近づいてきたことでも ありますし

お近くに行かれた際には 

是非😉

 

 

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