JuniperBerry’s diary

日々感じたことや ふと思い出した事を 書いてます

お昼寝するには

子供の頃 夏休みには お昼寝すると

決められていた

 

我が家のお昼寝は 

家族全員が畳の上に

川の字になって

タオルケットをかけて

ねる

 

夏だというのに

夕方以降は 何か羽織らないと寒いくらいの

天井のバカ高い(ハシゴをかけても届かない)

家だったけれど

昼間はそれなりに暑い

 

田舎の家には クーラーなど 当然のようになく

あるのは扇風機が一台のみ

それを いろんな部屋に移動させては使っていた

 

けれど

 

寝ている時に扇風機をかけると

風邪をひくからと(は 母の持論)

扇風機はかけずに

じとじと汗をかきながら

家族で畳の上に寝転んで

タオルケットまで かけていた

(足で蹴っ飛ばしていたけど)

 

そんなだから 

暑いし 汗をかいた背中が

畳にぺったりとくっついて

気持ち悪くて

なかなか眠れない

 

ちなみに、誰よりも先に

寝息を立て始めるのは

母だった 

いつの時代も母は忙しい

 

母が眠ったのを確認して

子供達はそっと起き出し

本を読んだり 

絵を描いたりするのが

いつもの事だったけれど

 

そんな子供たちが

きちんとお昼寝をする日がある

それは 父の仕事が休みの日

 

お昼寝タイムは

父にも適用されていた

 

父が休みの日のお昼寝時間

子供達は

父の横に陣取って

物語をねだる

 

「むかしむかし」から始まる

父創作の物語は

最後は毎回

「つづく」で終わる

もっと先が聞きたいよ、とせがむ癖に

父の「つづく」の声を聞くと

自然と瞼が重くなるのが

子供心に不思議だった

 

それは夏になると繰り返される

我が家のお決まりだった

けれど、小学校高学年になった頃から

家族で並んでお昼寝することもなくなり

父の「お話」は 

「つづく」のまま 終わってしまった

 

あの「お話」の終わり

聞きたかったな

 

***

 

梅雨が明け

蝉の声が聞こえ始め

首筋にじっとりとした汗をかくと

体の感覚だけが

昔に ふと タイムスリップすることがある

 

それは 不思議なほど 決まって

家族全員が 川の字で寝ころんでいた夏で

まだ幼い私が

父の「お話」に目を輝かせている