JuniperBerry’s diary

日々感じたことや ふと思い出した事を 書いてます

続けたいんだ けど

私には ことある毎に 

自分に言い聞かせている言葉がある

それは

「続けることに意味がある」

 

石の上にも三年 とか 

継続は力なり とも 

言うけれど

どうも 堅っ苦しくて 私の心に

グッさりと突き刺さらない

そこで

お子ちゃまの 私の意志力にもわかりやすく

「続けることに意味がある」

 

なぜなら 私

続けることが苦手だから

言われなくともできるなら

繰り返す必要なんて要りません

 

この「続けられない」特質

夫が転勤族だと拍車がかかる

 

アイルランドで始めた乗馬は

ドイツ神戸東京と 

どうにか 10年以上続けたけれど

ドン引きする暑さの京都で

脱落

 

アロマテラピー

資格をとったはいいけれど

ペットには禁忌が多くて 止めた

 

留学までして 仕事でも使っていたはずの英語は

今では、中学生レベルに逆戻りした感がある

 

その他にも、ちょびっと手をつけては ほっぽり出したり

そのままフェードアウトしていった 多々の⭕️⭕️

 

それら 遠い過去の幻となった

習い事のほとんどが

始めると同時に どーっとのめり込んで

ある程度すると 

憑きがおちたように 興味がなくなったり

引っ越し先に 教室がなくて

辞めてしまうというのが

お決まりルート

 

石の上にも三年なんて いうけど 

興味無くなったんだから 仕方ないよね

と思ってた

 

その一方で 

続けてさえいたら

今頃はもっと違う世界を見ることができていたかも

と うっすら思っていて

それは ずっと私の中で熾火のように

ちろちろと燃えていた

 

京都に来て 

乗馬を止める代わりに 

日本舞踊を始めた時

頭の隅っこに残っている

「違う世界」という言葉の

熾が大きく蘇った

 

私だって 違う世界を見てみたい

だから これから始める 日本舞踊は

何としても続ける と決めた

 

始めてみたら 日本舞踊ときたら

それまでの習い事とは 大変さも苦労も

レベルが違った

 

これまで うん十年と生きてきて

日本舞踊の体の使い方と 

全くの無縁だった私

 

小脳に 新しい動きを

インプットする事から 始めなくちゃならない

それも この年齢から

 

その上 インプットしさえすれば

すぐに動ける訳じゃない

インプットして 修正し またインプットする

それを何回何回も繰り返して

やっとスムーズに動けるようになる

 

子供の頃からやっている人が

楽々軽々と動いているのに

なんとない動きを 

何十回も繰り返さないと

できない自分

 

一回注意されたら 

すぐに直して舞えるのが

子供の頃からやっている人

私には それができない

 

日本舞踊の動きが 自分の中に知識ではなく

神経も含めた体の動きとして

十分に蓄積されていないので

自分の中に記憶している

似たような動きに 体が勝手に変換し

全く違う動きになっちゃったりする

 

お師匠さんは そんな アンポンタンな私に容赦ない

この歳になって 他の人の面前で 叱り倒される

恥ずかしくて 悔しくて ある意味新鮮

 

だけど お師匠さんもそれだけ 

本気で教えてくださっているということ

 

その上日本舞踊は 体力的にもキツイ

優雅におっとりと見えるけど

実際は

新しい曲を習うたび

順繰りに 別の箇所が故障する

ひどい時には 手で支えないと 寝返りが

打てなかったほど

 

それでも 止める とは思わなかった

考えそうになると 頭から押し出して

なにくそっと 

「続けることに価値がある」と

お経のように唱え続けた

 

細切れの習い事は もう懲り懲り

一つのことを ずっと長く続けて その先を見てみたい

日本舞踊を その「一つのこと」にする と

始めた時に決めたから

 

勿論

厳しくて 本気で 真摯で 

そして お茶目で 心底優しい

お師匠さんに出会えたから

続けてこれたというのは 大いにある

呪文を唱えるだけで

続けられる程 お気楽なお稽古事じゃない

 

だから

もう一つ決めたこと

お師匠さんが

教えてくださっている限りは

京都から引っ越したとしても

京都のお稽古場に通い続ける 

 

そして

習い始めて 10年以上が経ち

日本舞踊の動きも

少しずつではあるけれど

身体に蓄積されてきて

まだまだ 「できてる」 という

訳ではないけれど

それなりに

 

そして嬉しいことに

これまでよりも 細かい動きを

教えていただけるようになってきた

 

これでやっと スタートライン

そう思っていた時に

お稽古場から連絡が来た

 

お師匠さんが体調を崩されて

当分お稽古はお休み とのこと

 

丁度 夫の帰国に伴うなんやかや と

引っ越しの時期に重なったので

残念ではあったけど 

体は一つ

ちょっと助かった と

思ったのも確か

 

なんてったって 引っ越して1週間の今現在

お稽古できるだけの

スペースが部屋にない💦

お稽古が始まる前に

早く片付けて 練習再開しなくっちゃ

そう思っていた ところに

 

今度は お師匠さんから

お電話

体調が戻らなくて 

お医者さん通いがずっと続いてるそう

「歳には勝てない」と

おっしゃる

 

やはり コロナ禍の3年間 

マスクしたまま 

節を唄い、動きを口頭で教え

間違いを指摘して と

ずっと声を出し続けていた

お師匠さん 

かなりの負担になった事は想像に難くない

 

そして お師匠さんが 続けた

 

「止めようと思うんよ」

 

えっ!?

 

いつかその日が来るだろう

けど、まだまだ先

そう思って 考えないようにしていた言葉

そんな事よりも 京都から引っ越したら

どうやって 通おうか

そればかり考えていた

 

耳を押さえて

聞かないように

考えないようにしていた言葉が 

受話器から私の耳に

するっと 入り込んできた

 

言葉が発せられる前の 

ちょっとした間が

考えに考えた末に 

決めたことだったのだと

伝わってくる

 

だって、これまでだって

ずっと無理をおして

お稽古を続けて下さったのだ

背骨を骨折した時でさえ

続けてくださった 

だから お師匠さんにとっても 

止めると結論を出すのは お辛かったに違いない

 

ただ、お師匠さんはいつだってお稽古をつけてくださる と

勝手に思い込んでいた 能天気な私

 

だけど

 

あまりにも あっけなかった

何かが変化するときは

いつだって 呆気ない

 

そして今 私の意気込みだけが

宙ぶらりんで 揺れている

 

 

***

そして

「今後のことなど

いろいろと考えていたんよ 

また改めて連絡します」 と

言って下さった

お師匠さんからの

ご連絡を

部屋を片付けながら待っている