JuniperBerry’s diary

日々感じたことや ふと思い出した事を 書いてます

怪奇現象!? いえ、それは

ハロウィンはとっくに終わりましたが…

そっち系? でもないかもしれないお話です。

 

大学時代、女子寮に入っていました。

ちょうど今頃の、だんだんと寒くなり始めの時期だったように思います。

寮内で、変な噂が流れ始めました。

 

夜中に不思議な音がするというのです。

それは、非常階段近くの部屋の人から始まりました。

 

音がするのに、

周りを見回しても

誰もいない

 

私の住んでいた女子寮について

一つ説明させていただきますと、

夜の12時を過ぎると

廊下の電気は全て消されます。

トイレに行く時も、お風呂から部屋に戻る時も、

12時以降は真っ暗です。

寮生100名くらいの

ちょっと見は小さな学校みたいな大きな建物。

 

よくありますよね、学校の怪談、みたいな話

そんなのが似合いそうな雰囲気が

そこはかとなく漂う建物なんです。

 

ですので、一番初めの彼女が

件の音を聞いたのは、

緑色の非常灯だけがぼわーっと光る

ちょっと学校っぽい建物の廊下

ということになります。

 

噂がそのうち、

 

「私も聞いた」

「気配感じた、何かがいるって」

「どうしよう、トイレに行けない」

 

そんな人が増えてきて、

場所も1Fの非常階段から範囲が広がり、

とうとう4Fの住人が聞いたと言い始めるまでに

 

かく言う私はA棟3Fの部屋の住人だったのですが、

向かいの部屋の女の子が、ちょっとそっちの感覚が鋭いらしくって、

 

音がという訳ではないけどさ、

「この女子寮、なんか感じる」みたいなことを

A棟3Fの皆んなにぽろっと言ったこともあり、

 

そういうのがとっても苦手な私は

いつ その音が聴こえてくるんじゃないかと

ぶるぶるしておりました。

 

それに、私の部屋、外からの非常階段のすぐ横だったんです。

棟は違えど、非常階段は非常階段

そやつの正体はもしかしたら非常階段フェチかもしれないじゃないですか。

 

非常階段のドアにはガラスが入っていて、夜は鏡のように建物の内部を写します。

あんまり怖かったので、夜は見ないように

真横を向いて歩いてました。

 

 

ある夜のこと、

もうすぐ12時という頃だったと思います。

さあ寝ようとベッドに入った私の耳に、

 

 

音が聞こえたような気がしました。

気のせい、それか外の音にちがいない。

 

こう言う時にはさっさと寝るに限ります。

布団を頭からひっかぶろうとしたその時、

 

また同じ音が……。

 

空耳ではないと分かった時点で

ベッドの上でフリーズ

 

やっぱり思い違いじゃなかった。

私の耳、正常だったんだ

 

 

だけど、なんで部屋の中なのーーーーっ

廊下にしてくれ

 

 

小指一本さえ動かせず、

ただ視線だけは天井からドア、窓と目まぐるしく動き

 

とって食われたらどうしよう

どこに逃げる?

でも動きたくない、動けない

怖いよお

 

とてもとても長い時間に感じましたが、

多分、5分も経っていなかったのかもしれません

こう言う時って、よくそう言うじゃないですか。

 

その間も

音は続きます。

 

 

カサカサ

kasakasakasa

かさかさかさかさ

 

 

え?

カサカサ?

 

この音、なんか聞き覚えがあるような。

やけに現世的な音。

これ、「あなたの知らない世界」系の音じゃないよね。

そう思えただけで、フリーズ状態から半解凍になった私

 

解凍はどんどんと進みます。

 

音は、すぐ近くから聞こえてくるようです。

 

 

しゃりしゃり

かさかさ

しゃりしゃり

 

 

壁とベッドの間から聞こえてきます。

 

私はそおっとベッドから降り、

部屋の電気を点け

すぐに廊下に逃げられるよう、ドアを少しだけ開けました。

 

抜き足差し足でベッドに近づき

下を覗き込むと

何かと目が合った……。

 

 

びゃふーん🚀

 

そいつがすごい勢いで飛び出して

 

私の足元をすり抜けてドアの方へと走り去りました。

 

 

茫然自失

 

 

何あれ、幻影? 

 

 

いえいえ、まぼろしではありません。

 

目の前を走り去っていったのは

やけに恰幅の良い、オレンジ色をした猫だった。

 

 

夢でなかった証拠に、

部屋の外から

 

 

「きゃあ 猫!?」

「どこから入ってきたの!」

という女子の声

 

 

 

ベッドの下を覗いてみるとふわふわと散らかっているものがある。

キャスター付きのカラーボックスの後ろに見えるのは

花鰹の大袋

 

そして、ベッドの下は花鰹まみれ

 

そういえば、花鰹を買ってきたはずなのに、なんで見当たらないんだろう

スーパーに忘れてきたかな? また買いに行かなくちゃ、と思っていたのだった。

(花鰹と梅干しを混ぜて食すのが好き)

あれは3日くらい前だったから

 

あの猫さんは

私が買ってきたばかりの花鰹を見つけ、

いいもの見つけた、と

私のベッド下に袋を持ち込み

3日間にわたってむしゃむしゃと食べていたということになる。

 

あれだけ音を怖がっていたくせに、

3日間も猫の存在に気づいていなかっただなんて。

鈍感というか、なんというか

 

ちなみにその後、

かのオレンジ色の猫は

寮住み込みの管理人さんに引き取られ、

女子寮を日々かっぼしておりました。

雄なのに。

 

 

その後も、私の部屋にはセキセイインコが迷い込んできたりして

何かと動物に好かれる部屋だったようです。