JuniperBerry’s diary

日々感じたことや ふと思い出した事を 書いてます

でかい彼女と出会った話

ドイツに住んでいた頃は いろんな乗馬クラブに顔を出した

子供たちが半数を占める アットホームなポニークラブ

家のすぐ近くの2つの乗馬クラブ

 

そして一番頻繁に通ったのが 

車で30分ほどかかるところにある 乗馬クラブ

 

こちらの乗馬クラブでは

初めグループレッスンを受けていたけれど

ある時クラスの先生が急遽お休みになり

ピンチヒッターで入った先生が とってもいい感じで

彼女に「教えてほしい」 と頼んだ

 

ところがその先生は 乗馬教室の所属ではなくて

乗馬クラブに馬を預けている人たち専任のコーチ

ということは、乗馬教室の馬には乗れず

 

彼女から教えてもらうには 馬を借りなくてはならない

 

そこで 先生が口をきいてくれて

乗馬クラブのオーナーの馬に乗せてもらえることになった

それがトラケーナーという品種の牝馬

 

このお馬さん

とっても可愛い顔をしているけれど 

とってもでかくて

とってもとっても臆病

 

そして慣れないもの(私)には警戒しまくり

ゆえに

毎回馬装に 一苦労

 

まず、頭に手が届かない

縄跳びみたいに 手綱を頭にかけようとしようものなら

目を剥いて 「何をなさる😠」 とのけぞる

 

やっと手綱を首にかけた と思っても

そこから頭を抱き抱えるのがまた大変

首にぶら下がるようにしたり

手綱で誘き寄せたり

 

どうにか頭を下げさせても

その頭がまた でかいし重いし

すぐに 「ふんっ」とすごい力で頭を持ち上げてしまって

一からやり直し

 

なだめてすかして怒って地団駄踏んで

馬装だけで 30分以上の格闘はザラだった

 

背の高い友達に、何度

「レッスン時間に間に合わないの、助けて」とお願いしたことか

 

馬に乗る前段階で 既に疲労困憊

1週間、悪戦苦闘して

「馬を変えたい」とコーチにお願いした

 

けれど

「Juniperにはこの馬が合っている

彼女は繊細で指示に敏感な とってもいい馬だから

まずは一ヶ月頑張って」

と、取り合ってくれない

 

レッスンに入ってからも大変だった

というのも この馬 超の3っつは付く臆病

 

まず、アリーナに2箇所ある 出入り口が怖くてたまらない

誰かがそこから覗き込みでもしようものなら

アリーナの反対側にいても ビクンと跳ねて

逃亡態勢に入ってしまう

 

入り口に近づくのも 拒否(手綱を引かれれば入れる)

当然ながら アリーナから外馬場に出るのも怖くてたまらない

こちらも、誰かが手綱を引いてくれない限り 断固拒否

 

まずは普通に

アリーナのどこにでも行けるよう

彼女に慣れさせることから始まった

練習は毎回 彼女に入口は怖くないよー と教えることから始まる

 

彼女の視界に入口が入らないように 入り口と逆方向に顔を向けさせて

何周も何周も 斜め歩きで練習

そして その度に「怖いー いやだーっ」っと横っ飛びされた

 

***

 

乗馬クラブのグループレッスでは 

その回ごとに さまざまな馬に乗り

姿勢や指示の出し方など 乗り手が乗馬方法を習う

 

けれど 一頭の馬を借りて乗ることになり

ベクトルががらっと変わった

 

レッスンは

馬に苦手分野を克服させるため

馬の癖を矯正するため 

そして

馬のパフォーマンスを向上させるための時間になった 

ここで乗り手は二の次だった

 

***

 

ずっと一緒に 一つことを目指して

一歩一歩進んでいるうちに

彼女に対して 同志みたいな感情が湧いてきた

 

上手くいけば 思い切り褒めるし

今ひとつだったら 次は頑張ろうね と勇気づける

 

私が怖がっていたら、馬に直に伝わってしまう

だから

呼吸を穏やかにするために 呼吸法を

緊張してもなるべく体を固くしないように 柔軟運動

そして 驚いても声を上げないように気をつけた

 

(ちなみに 馬は人の恐怖の臭いを嗅ぎ取ることができるそうで

その臭いを隠すための商品も売っているみたいです 

使ったことはないですけど)

 

そうこうするうち 馬の私に対する壁が だんだんと低くなり

拒否&横っ飛び率も低くなった

 

そして いつの間にか

馬装にも時間がかからなくなった

勿論 ご機嫌斜めの日はある

そんな時は、首筋を思う存分撫でて 気分上向きになってもらい

人参の小片をもぐもぐしている隙を狙ってハミをつける

 

とうとう 約束の一ヶ月目が来た

先生に「どうする?」 と聞かれ

躊躇なく「これからも彼女に乗りたい」 と言っていた

 

彼女とは これ以降

(「わー🫢」とか、「ひえー😱」とか、「やったー😆」とか)

一緒に沢山の経験をした

 

また機会を見つけて 

ブログに上げさせてもらおうと思ってます