JuniperBerry’s diary

日々感じたことや ふと思い出した事を 書いてます

稲妻の話

子供の頃から

稲妻を見るのが好きだった

 

障子戸を開け、ガラス窓に頬をくっつけるようにして

飽きもせずに 

真っ黒い空に 葉脈のように流れる稲妻を見ていた

 

それは安全な現代の家の中で

雨風を凌ぐことができているからこそなのだけれど

もしかしたら

生物に備わっているはずの

稲妻に対する恐怖心を司どる脳の部位が

普通の人より 小さいのかも? しれない なんて思うことがある

 

高校生の時は自転車通学

 

その日 私はブレザーを着ていたから

季節は 春か秋

 

帰宅途中から降り出した雨は 強さを増し

いざという時のために持っていた雨コートは

学生鞄の雨避けに使ってしまって

びしょ濡れになりながら、家に向かって自転車を走らせた

 

プールの中を自転車で走ってるみたい

 

ここまで濡れると、潔くて気持ちいい

車も人も通らない まっすぐで 真っ暗な道を

空を見上げ 

面になって落ちてくる 雨粒を 顔に受けながら 

鼻歌を歌いたくなる

 

(口を開くと雨が入ってくるので、歌いはしなかったし

機嫌の良い時に思わずやってしまう両手離しも ーー危険運転です すみません

道路全面水たまり状態では 実行しないだけの分別もあったけど)

 

その時、薄青紫がかった白い光が ちらっと光り

私の行く手、真正面を バリバリという音を立て

周囲を 薄紫色を帯びた光で炙り出しながら

世界を私の左と右にくっきりと分けて

道路の延長上に 何かの啓示のように吸い込まれていった

 

その後に続く、胃の腑に響くような轟音

 

稲妻は1つでは終わらなかった

3つくらい続いたと思う 

私の目の前を

 

後から思えば

急いで屋根の下に逃げ込めば良いものを

自転車にまたがったまま

ただポカンと稲妻に見惚れていた

危機管理能力 なし

 

だけど

あんな綺麗な稲妻は それ以前もそれ以後も見たことがない

私一人しか(多分)見ていなかっただろう

私の中の一番の稲妻

 

といいつつ、実は、もう一つ忘れられない

稲妻がある

 

季節は冬

 

松林の向こうに日本海を見渡す部屋の 窓から見た稲妻

雨は降っていなかった

 

真っ暗な宙から 白糸の滝のような稲妻が

何本も何本も 日本海 目がけて降り注ぎ

薄紫色の光が遠くの島の姿を一瞬浮かび上がらせる

その幻想的な光景に見入る私の 心の中に

 

ふと

 

こんなに雷が海に落ちるのでは

魚は驚いて逃げ惑っているのではなかろうか

だというのに

稲妻の美しさに見入っている私って

 

という小さい声が聞こえるには聞こえたのですけど

 

 

もしかすると

日本海側は稲妻を見やすいのかも?

 

家が建ち並んでいるからか

雪と関係があるのか

それとも地形なのかは わかりませんが

海外でも関西でも関東でも

あれほどの稲妻を見た記憶がありません

 

そういえば、

実家のある地方では

雪が降る前、雪を呼ぶ雷を

「雪おこし」と呼びます