施設に入っている母に週に2回の電話タイム。
施設までは電車で片道5時間半、door-to-doorで6時間半かかるので、
コロナ禍以前から、あまり頻繁に行くことはできなかったのだけど、
施設が県外からの訪問を許可していないこともあって、
もう3年会いに行けていない、そういえば、顔も見れてないわ。
昨年はLINEで顔を見ながら話せたけど、
施設のWiFiの状況が悪いとかで、今は専ら電話のみ。
電話は事前に都合の良い時間を伺ってから
その時間に合わせて、施設の方が受付の電話のところまで母を連れてきてくださる。
そして、昨日も約束の時間に電話をかけて、
受付のお姉さんに母にかわってもらった…はず
「もしもーし」
返事がない
「もしもーし、もしもーし」
多分ヘッドセットがずれているに違いない。
母の小さな頭にヘッドセットはやけに大きくて、
時間と共に、ずるっと鼻の上に落ちたり、襟巻きみたいに首からぶら下がってしまう。
施設の人が気づいてくれるまで、のんびり待つ事にしましょうか、
といっても、「もしもし」だけでは芸がないので、
芸がないなりに
もしもし亀よ のサビ部分(そこしか覚えていない)だけ
母の名前を入れたりして繰り返していたら、
電話の向こうから
「もしもし亀よ、亀さんよ〜🎶」と母の声。
「あ、お母さん? juniperです〜、元気?」と言うも
母の「もしもし亀よ」が止まらない。
1番を歌い終わり、2番に入る。
やけに堅苦しい言葉遣いの
うさぎと亀が
おっとりした声で歌ってる
童謡の節が母のツボにすぽっと入ったらしい。
繰り返しが2回目に入ったので、
せっかくだから、私も電話口で一緒に歌う。
実は、母が一周歌ってくれるまで、
「もしもし亀よ亀さんよ」から後、すっかり忘れてた。
私の記憶力大丈夫か
歌い終わって、
「お母さんって、すごく記憶力良いねえ」
と言ったら、
「そう〜〜? 大切なことは全部忘れちゃってるわよー、ふふふ」
と笑った。
まあね、お父さんが亡くなったの、忘れてたもんね。
この母にしてこの子あり。
だけど、今、
「もしもし亀よ」以上に大切なことなんてないのではなかろうか。
でね、私は、子供の頃みたいに、母と一緒に歌えてちょっと嬉しかったのです。
それだけのお話🙇♀️