私が住んでいる地域には
学校が多いので
登下校時に出かけると
小学生から高校生まで
よくすれ違う
幼稚園の送迎バスも
すぐ近くに 集合場所があるせいか
お子さんたちを
送ってきたお母さん方が
いつも おしゃべりしている
私は彼らの脇を
かるく会釈付きで 通り過ぎるだけで
言葉のやり取りはない
ある日 いつものごとく
家の前の道を歩いていたら
中学生くらいの
男の子3人が
自転車を漕いで通り過ぎた
その時
一人の男の子が
私の方を向いて
「こんにちは」と
誰か知り合いでも 見つけたのかな? と
周囲を見回したけれど
誰もいない
私に向けられた言葉だったらしい
自転車は あれよあれよと言う間に
遠くなり 挨拶を返そうにも
もう声が届く距離じゃない
私は 遠く小さくなった
すらりとした背中に
「こんにちは」と
小声で 返事して 小さく手を振った
気持ちが 明るく弾んで
笑顔になった