JuniperBerry’s diary

日々感じたことや ふと思い出した事を 書いてます

美しさと醜さ

 

美術予備校に通っていた時

 

講師の先生が 生徒を前にして

受かるには まず

美醜のどちらを目指すか

決めなさい と 言った

 

人の多くは 

美しいものが好きだし

美しいものを 描きたいと思う

 

けれど 美しさで 勝負しようと思ったら

並び立つものがないくらい

際立って 美しくなくてはならない

ちょっと綺麗なんてのは いくらでもあって 

中途半端では 

歯牙にもかけられない

 

美しさで競うのは難しい

 

けれど

醜いものは

醜悪

恐怖

辛苦

苦痛

悲嘆

 

それらは 強烈な感情を引き起こし

だからこそ インパクトを与え

視線を惹きつける

それは 受験では 強み

 

見る者の 感情を

揺り動かすことができれば 

可能性は高くなる

 

極限の美を目指すか

それとも

数ある醜さを描くか

 

どちらを選ぶ?

 

私は選んで 届かなかった

だけど 知った

 

素晴らしい作品は

どちらも内包している ということ

この上なく美しいものにも

一筋の影があって

初めて 美しさが際立つし

この上なく醜いものの 

ところどころにも

美が隠れている

 

現代作家で 例を挙げるとしたら

思わず目が留まるけれど

それが何かと 理解した途端に 

目を背けてしまう

(私はどうしても苦手な)

松井冬子の絵 とかでしょうか

 

 

完全な美はないし

完全な醜もない

もしあるとしても、それは

この世とは別の話

 

講師の先生が言ったのは

目指すものに向けて

感性を研ぎ澄ませ

無用なものを 排除し続けても

それでも どうしてもどこかに

正反対のものが残ってしまう

 

その域になって 初めて 

目を惹き 心惹かれる 作品になる という

事だったのかな

 

私には もちろん 到底

届くことができなかった 

夢のまた夢だけど