今、テレビでは しきりに
ガザ地区について
報道していて
隣国によるウクライナ侵攻は
まだ続いている
***
今から何年も 何年も前
カナダで学生寮に入っていた時
寮内が急に しんっとした事があった
娯楽室を覗くと
生徒達が集まって テレビ画面を
食い入る様に見つめていた
「どうしたの?」と
近くの子に聞けば
「さっき カナダが参戦を決めた
軍隊が派遣される」 と
「あの子達の家族は
軍隊に所属してるから」
その場にいる 誰もが
カナダの参戦を
自分事として受け止めていた
自分や自分の家族
親戚や 友人の
生活を 脅かす
事態が起こっているのだと
体で感じていた
その時 私は
日本が 自衛隊を送ることはないと
知っていたし
多分お金で済ませるのだろうなと
思っていた
日本にいる 家族や友人が
物理的に巻き込まれることは
ない とも わかっていた
けれど 目の前で
手を固く組み合わせて
画面を見つめる 女の子達
私は 戦場で何が起こっているのかを
この目で 実際に見たことは ない
画面を通して知る
映画のような絵面と
アナウンサーの平坦な声
それを見て 聞いただけでは
知っているとは 言わない
ただ あの時 私の目の前に
確かに 戦争が あった
戦場から遠く離れた アメリカ大陸で
家族を思い
手を固く握りしめる 少女達の姿
あれは 戦場から
遠く離れた場所での
一つの
戦争の姿だったのだと思う