JuniperBerry’s diary

日々感じたことや ふと思い出した事を 書いてます

コーヒーを飲めなかった話

大学時代 運動部に所属していて

大学からすぐ近くの寮に住んでいた私は

何かというと 先輩から 飲み会要員として呼び出された

 

それは一年生の冬だった

先輩方行きつけの 居酒屋 それも

ワイワイガヤガヤという感じではなく

飲み慣れた おじさんがたが 

女将さんとしみじみ話すのが 似合うような

なかなか渋いお店

 

じーっと座って

先輩方の話を聞いている内に 

8時を過ぎて9時を過ぎ いつの間にやら10時

帰る帰る、もう帰る と言ったのに

なんだかんだと 引き止められて

友達は最終電車を逃し

私は門限に間に合わず

一年生女子2人は とうとう

他の先輩方と一緒に そこから近い

4年生の先輩のアパートに泊まることに

 

ドアを開けたその先は

その頃の 男子の部屋ってこういうもの

なのかもしれないけれど

「散らかり放題」「汚し放題」

くしゃくしゃに丸めた紙ゴミ

どれだけの間かわからないけど敷きっぱなしの布団

カップラーメンの空き容器に入ったままの割り箸

 

部屋に入り

前を行く先輩の後を

まるで雪原の足跡を辿るように

足跡以外は絶対に踏まないように 追いかけて 

床の隙間に お尻をできるだけ小さくして座った

 

先輩が コーヒー飲むだろ と

豆を挽き サイフォンを取り出して、全員分をいれてくれた

ぽこぽこぽこという 柔らかい音 バーナーの炎 コーヒーの香り

こんな風にいれるコーヒーなんて初めてだったし

見るのさえ初めてだった

 

ただ その日先輩が せっかくいれてくれたコーヒーに

私は全く口をつけなかった

 

体調が悪かったわけではない

夜眠れなくなるから、というわけでもない

(その頃は何を飲もうと 眠れなくて困るなんてことはなかった。

それに、他に何人もいるとはいえ

先輩の部屋で寝るのはあまり気が進まなかったから

目が冴えるのは大歓迎)

 

ただ、ただ、部屋と台所とシンク 理由はそれだけ

 

友達は気にしないのか、それとも心が強いのか

さっさと 飲み干していたから

 

眠れなくなるんで とか 苦いのが苦手でとか

思いつく限りの言い訳を 口の中で もごもごとつぶやいて

彼女に 私の分も飲んでもらった。

 

他の先輩には お前、失礼な奴だな と言われたけれど

どうしても 口をつけられなかった。

 

後日 他の先輩から 

「Juniperに美味しいコーヒーを飲ませたかったらしいよ」

と 聞いた

 

コーヒーの美味しさを知らない後輩に

これぞというコーヒーをいれてやる って事だったらしい。

先輩、すまない ごめんなさい

 

今だったらどうだろう

見なかったふり、知らんふりして

えいやっ と飲んじゃうだろうか

 

二十代の頃は 年齢的なこともあったんだろうね

先輩からは 「お前ってさ、腐ってもJuniperだよな」 と呆れられつつ

(どういう意味なんだか いまだによくわからないけど

多分、何があっても我を通す みたいなニュアンスなのかな?)

わがままも まあまあ と許されたけど

 

お家に伺って

出されたものに全く口をつけない ってのは

それは 失礼にあたるよね。

 

でもね、生理的に無理なものは無理だったのだ 

青くて潔癖で、人の気持ちを傷つけていた私

 

今はどうだろう

あれから変わったかというと 自信がない

うーん と考えて

やっぱり飲めないかもしれないな と思う

 

ほんと 成長してないな 私