JuniperBerry’s diary

日々感じたことや ふと思い出した事を 書いてます

檸檬スライス

 

お題「「これぞ青春の味!」と思う懐かしい味はありますか?」

 

 

中学生の時に入っていた軟式テニス

初めての大会は 暑い頃 

河川敷にある テニスコートで行われた

 

試合に出ない1年生は 臙脂色の体操着

先輩達はフレッド・ペリーのユニフォーム

真っ白な中に 小さいワンポイントが一つ

シンプルで地味 だけど

真っ白な上下が 

河川敷に生い茂る緑と

テニスコートの赤茶色したクレーコートに 

綺麗に映えて

眩しくて羨ましかった

 

試合当日は 早朝から現地集合

自転車で乗りつけて

河川敷の斜面に 応援席を準備したり

(といっても 草地にシートを敷くくらい)

スコア表や試合の順番を確認したり

 

その頃は 暑いといっても今ほどではなくて

熱中症の危険性なんて 声高には言われていなかった

試合が始まると

中に入れない1年生達は

立ち上がって 手製メガホンとって

帽子も被らず 流れる汗を拭きながら

草地から 声を限りに応援した

 

日焼けした肌が 勲章みたいなものだった

 

お昼時

青空の下 皆んなで草地に座って広げるお弁当は

まるで ピクニック

 

友達と どの学校の誰が強そうか 

とか

どの先輩がカッコいい とか

お喋りしながら

梅干し入りのおにぎりを ぱくついた

 

そこへ 先輩からタッパーが回ってきた

「お疲れ 一人1枚ね」

との 声と共に

 

中には 檸檬の輪切りがぎっしり詰まってた

檸檬? 見るからに酸っぱそう 

ちょっと気後れがしたけれど ここで断る勇気はない

 

「ありがとうございます いただきまーす」

友達と大声を張り上げた

 

添えられていた爪楊枝で

真っ黄色で艶々した

薄切りを一枚ひっかけ 口の中へ

 

「おいしーい」

友達と顔を見合わせた

意外 

全部食べちゃいたいくらい

美味しかった

 

私たちを見て 先輩が笑った

「疲れていると甘く感じるんだよね

蜂蜜をかけてるのもあるけど」

 

それ以来

新人戦に出させてもらった時も

(さっさと敗退したけど)

3年生の引退試合でも

大会の時には いつも

檸檬のスライスがあった

 

酸っぱくって ほろ苦くて 甘い 

蜂蜜の とろりとかかった 

真っ黄色の檸檬スライス

 

手足が棒切れのように細くって

真っ黒に日焼けしていた頃の 

中学時代の思い出です