母に言わせれば
父と私とは
似たモノ同士なのだそう
私は全くそうは
思っていなかったんだけれど
父が面長だったのに比べ
私は丸顔
父は背が高かったけど
私はごく平均的
父は喜怒哀楽を
ほとんど表に出さず
私は すぐに顔に出る
そんな あまり似てない
父娘だけれど
これは父から受け継いだな
と思うモノがある
それは
これがいい! となったら
離さない
こうする! と決めたら
一直線
これが
いい事なのか
悪い事なのか
対象にもよるだろうけれど
父の場合
その対象は 家だった
父は次男坊だけれど
伯父が亡くなって
家を継ぐことになった
その家が
ばか古くてばかでかい代物
(ど田舎なので)
父が正式に相続した頃は
雨漏りがして
曽祖父が隠居していたという
新座敷への渡り廊下や
築山の茶室は
崩れ落ちていた
父はこの家を
壊さず 元のように直す と決めて
家のために 働き
家のために 時間を捧げ
その姿勢にブレはなく
そして家族は振り回された
実は 実家は
父が生まれた家では ない
祖父の仕事の都合で
家の管理は
番頭さんに任せ
各地を 転々としていたから
この家で過ごしたのは
夏や冬の休暇
くらいだったはず
何が 父をそこまで
突き動かしたのか…
もしかしたら
子供の頃の
休暇に過ごした
幸せな思い出の
入れ物 だったからなのかな
と 思うこともあるけれど
私にとっては
子供の頃は
街の家と田舎の家の
移動に時間をとられ
友達は近くにいないし
冬は寒いし
暗いし
父の家への執着が
家族の形と
私の幼少期の思い出に
大きく影響したことは 確か
あの家さえなかったら
もっと 普通の生活を送れたのに
と思っていたこともある
なのに
あれだけ嫌だった
父の頑固っぷりが
父の姿を近くで見ていたからなのか
私にまで うつっちゃったらしい
これが好きとなったら
一直線
だけど元は
のらりくらりと
お調子者で
好きのコロコロ変わる
子供だったのよ