うっそりとした
薄暗い日本家屋の
天井のやけに高い部屋に
寝転んで
母の本棚から 手あたり次第に
引っ張り出した 本の数かず
その中にあった
詩集のアンソロジー
そこで 小学生の私は
はからずも であった
その本に
谷川俊太郎の 詩は
いくつも 掲載されていたけれど
幼い私の記憶に残ったのは
『二十億光年の孤独』
聞き慣れぬ音の
単語に ひかれ
その後も 幾度となく
本を開いた
小さな女の子が
詩の中で 初めて
であった
独特で不思議な
「孤独」は
心の細胞の いくつかに
うっすらと 染みこんで
今も時折 囁いてくる