JuniperBerry’s diary

日々感じたことや ふと思い出した事を 書いてます

モデルの顔が怖くとも

 

大学時代 美術モデルのバイトをしたことがある

友人が教育学部美術科

彫塑教室に所属していて そのご縁で声がかかり

 

もちろん 素人の学生ですのでね

ヌードモデルではありません

ちゃんと服着てます

 

ただ、彫塑なので 

絵画のモデルとは舞台設定がちょっと違う

中華料理の回転テーブル(レイジースーザンっていうらしいですね)

みたいな台の上に立ち

その上でポーズをとる

 

何分間かに1回 回転テーブルが 一定の角度回される

彫塑なので、全方位から見なくてはならないと

なるほど

 

そして、デッサンのモデルと違って 

何日も何日も 同じポーズをとり続ける

 

ちなみに デッサンモデルだと 

時間内にポーズをいくつも変えていくので

ポーズ間隔がかなり短い 

1ポーズ 5分とか もっと短かったかも

 

美術モデルで(多分)一番楽かなと思うポーズは

真っ直ぐに立つか 座って 両足をしっかり床につけ 前を向く

それでも 何分もじっと動かずにいるのは なかなかしんどい

 

私の彫塑モデルのお仕事初日は

なにしろ初めてで 要領が全くわからない

 

言われるままにポーズをとって

もう少し後ろに顔向けてみようか とか

足一歩前出してみて とか言われ

 

最終的に じゃあこれでいこっか と言われたポーズは

 

プロでも嫌がる(であろう)

片足重心に捻り三箇所(腰と首と肘)つき

右手は腰 左手は手のひらを外に向け

親指と人差し指を太もも前側につける

 

なんかね 海賊の頭領みたいなポーズです

 

モデルさん、これで行ける? と聞かれ

もうちょっと 女性らしいポーズがいいなあ と思ったけれど 

体力あるから できそうかなぁぁぁ と

その時は思い 大丈夫です とお返事

 

しかし、大丈夫だったのは

初めの2、3ポーズ

あとはもう 忍耐と忍耐と忍耐の

忍の一文字

 

授業の半分くらい過ぎた頃から 

捻りが甘くなり 重心かける足が変わり

そして顔が どんどん無表情に

あと少しで 終了ってくらいになると

とうとう 「モデルさん 怒ってる?」 と言われる始末

 

怒ってないです

怒ってなんていないんです

じっと立っていようとすると

顔が こうなっちゃうんです

 

こんな辛い期間を経て

美術モデルのコツは 視線を一点に定める事と知りました

視線を動かすと 体も動かしていないつもりでも動いてしまう

(なので どんなふうに作っているかも 見ることができない)

 

 

さて、そんな悪戦苦闘の何週間かが過ぎ

無事にアルバイト期間終了

 

あとは型をとって石膏流し入れて と

モデルの出る幕はありません

 

美術教室の中には

粘土でできた等身大の私が林立している

 

だけど 自分が沢山って なんか怖そうだと思いません?

その上 ポーズ中の半分は顔がこわばって

「怒ってる?」とか聞かれていたし

 

怒った顔の私が沢山 なんて 本人だって怖い

 

でも大丈夫

作品の顔って、作者に似るようで

ほんわかした顔立ちの友人の作品は

やっぱりほんわか

 

すっきりした顔立ちの大学院の先輩の作品は

少年みたいな顔立ち

 

なので

 

あんまりのしんどさに 顔がばっきばきにこわばってても

蓋を開けてみれば

それほど気にすることはなかったのでした