
お稽古帰りの時のこと
電車の席に座って
ぼんやりしていたら
目の前に
初老の男性が
仁王立ちで
えいっ とも だあー ともつかない
不思議な声を上げながら
どしゃん と
すごい音を立て
スーツケースを 勢いよく
網棚の上に放りあげた
と思ったら
また すごい声と
音を立てて 網棚から
スーツケースを床におろし
(ほとんど ぶん投げた感じ)
空いた席に突進した
その一連の動きに驚いて
何事! と
思わず 目で追ってたら
隣の席の女の子と目が合った
「びっくりしましたね」と
女の子が
苦笑気味に言って
「ええ ほんとに」
私も 目を丸くしながら
うなづいた
二人で顔を見合わせて
ふふっと笑った
それだけで
男性の乱暴な仕草も声も
そのせいで感じた嫌な気持ちも
どちらも
どうでも良くなって
却って ちょっぴり幸せになった
気持ちって不思議