弟がいます
この姉弟
体格も 性格も 正反対
弟は ぽっちゃり
私は 痩せ型
弟は 無口
私は おしゃべり
弟は 頑固
私は そこそこ柔軟(弟と比べれば)
弟は 大学除けば 地元密着
私は 地元からは 出たっきり
あっちゃこっちゃな
私と違って
頑固さゆえの
地道な努力と努力と努力の
賜物で
両親の期待に応えて
地に足つけた 職業につき
地元にしっかり根をはっている
そんな 弟だけど
子供の頃は
かなり 大胆だった
実験好きの 萌芽なのか
家の中でマッチで遊んで
畳を焦し
両親から
姉の 管理不行き届きと
なぜか 私が怒られたこともある
(なぜだあああー)
私は一度もしたことのない
家出だって
弟は 小学生の頃に
すでに数回 経験済みだ
その 家出の一回目は
冬の日曜日 だった
両親は クリスチャンなので
病気でない限りは
日曜日は教会に行くのが お決まり
ちなみにですけど 私は
高校を卒業して以来
教会には 行ってない
さて
頑固な父は(弟の頑固さは父譲り)
子供が家出した こんな時にも
教会に行く決まりを
揺るがせにはしない
そしてその日は
朝でなく
夜のミサに 行くことになっていた
夜 暗い道の びちゃびちゃの雪を
重い足取りで踏みつけながら
「お父さんは 弟のことが心配じゃないのかな」と
多分 初めて 疑念がわいた
いやいやながらも 教会に
連れて行かれた 私は
弟に何か悪い事が起きたらどうしよう
みたいな 嫌なことばかり
浮かんできてたから
とっても不機嫌で
神父さんの お話の間中
「話を早よ終わらせんかい」
(なぜか関西弁)と
念じつつ
睨みつけ続けてた
ところが
誰よりも熱心に聞いていますね と
神父さんから
見当違いに褒められて
ご機嫌になった神父さんの
話を 却って
長くさせただけだった
その日の 夜遅く 弟は
何事もなかったかのように
しらーっと 家に帰ってきた
(弟は私と違って ちゃっかりしている)
弟が
母に怒られたんだか
父に怒られたんだか
少なくとも私は
いろいろと 念じすぎて
そんなことは もう
どうでもよくなっていた
ニコニコ
無傷で帰ってきた弟を見て
心配したこっちの方が
バカみたいと思って
また疲れた
小学生に入ったばかりの幼児が
家出するのにも びっくりだけど
それをほっぽっておく
父も母も 肝が据わっているというか
決めた事は
何があろうと絶対変えない
父の頑固さは ある意味あっぱれというか
(現代なら許されないけど)
今から思えば
私が知らない何かを
父は知っていたのかも
しれないけれど
(弟が隣の家に
入って行く所を見た とか?)
なにしろ
お説教を 短くさせようにも
小学生の眼力&念力では
力不足 ということだけは
よーくわかった