JuniperBerry’s diary

日々感じたことや ふと思い出した事を 書いてます

美しくて優しい言葉  (5/8投稿分)

 

ドイツ語というと

ハッとかヒッとかフッ といった

息を鋭く吐き出す音や

ガギグゲゴ とか バビブベボ

といった 濁音を 多用するイメージで

あまり 好きではなかった

 

だから 夫の赴任先がドイツと聞いて

「えーっ なんでイギリスじゃないの」

と こっそり思った

いんや 一言二言、三言は言葉にした

 

そしてドイツに住み始めてからも

やっぱり ドイツ語は音が怖くって好きになれなかった

 

特に震え上がったのが

食料品の買い出し

その頃は電子マネーなんてなかったし

 

スーパーのレジのお姉さんに

「X %〜?*」と 早口でキッツイ声で言われると

それだけで 

ひゅーんと縮こまり

財布の中を探る指まで震えて

そこにまた

「早くっ」 と 急かしているであろう声が

おっかぶさってくる

 

ドイツのスーパーでの支払いは怖い

 

ドイツでの生活に慣れて

スーパーレジでのやり取りにも慣れ

おねーさんの眉間の皺にも

恐れをなさずに 買い物できるようになっても

やっぱりドイツ語に対するイメージは変わらなかった

 

それは

ー怒っているみたいな音ー

 

ドイツ語は嫌い

けれど

生活しているからには 

ドイツ語を少しでも話せるのと

全く話せないのとでは 

滞在中のQOLが大きく違ってくる

 

スーパーのレジでも お店でも カフェでも

英語を使うよりドイツ語で話したほうが

300%増しで 対応が良くなる

 

なんなら にこっとした笑顔や

気軽な言葉のやりとり 

時には

ちょっとしたおまけだったり

 

なので 好きではなかったけれど

ドイツ語を習うと決め

夫の会社の先輩の奥さんから

フラウCを紹介してもらった

 

フラウCはゲーテと日本が大好きで

ドイツ文化を日本人駐在員の奥さんに教えるのを

ライフワークにしている

 

英語も当然のごとく ぺらぺらな彼女だけれど

レッスン中は ドイツ語のみ

 

レッスンの初日

彼女のドイツ語を聞いた 私は 

ショックを受けた

彼女の話すドイツ語が

それまでの 私の知っている ドイツ語と

同じ言語とは

到底思えなかったから 

 

それは

 

「鈴の音のような言葉」

 

ドイツ語を

こんなふうに表現することが あるだなんて

想像もしなかった

 

ゆっくりと揺らすグラスの中で

赤ワインが まろやかにうねるような

時には

森で囀る小鳥のような

時には

隣から聞こえる子守唄のような

 

彼女のドイツ語

 

驚いた私は

フラウCに 

「あなたの話すドイツ語は 

とっても優しく聞こえる それはなぜ?」と 

思わず聞いていた

 

彼女は

「優しくて美しいと思う単語を

選んでいるからかしら」

と 首を傾げて言った

 

多分 単語だけではなくて

言い回しも 柔らかい表現を選んでいるのだろうな

 

言語の印象が

話し手の選ぶ 単語や表現によって

こんなにも変わる って事が

驚きだった

 

 

ちょっと逸れるけれど

 

夫から どの言語を話しているかで 私の

印象が変わると言われたことがある

 

ドイツ語は 丁寧 

英語は 強気 

日本語は……  さて、どう思われます?