JuniperBerry’s diary

日々感じたことや ふと思い出した事を 書いてます

空腹な食いしん坊に、熱々は危険

東京で勤めていた頃

会社の保養所を借りて

友人と週末を過ごした事がある

 

それは房総半島の先っちょに建つ

マンションで 畳敷の2部屋と

ダイニングキッチンの3部屋

 

昼間はみんなで鴨川シーワールドマザー牧場を観光し

夕方には温泉を堪能

夕食は 鍋にすることに決まった

 

スーパーで白菜やネギ、キノコなどなど

いい出汁も取れそう と 

身のしっかりついた鮭のアラも購入

そして、しめ用にうどん

 

わいわいと作るお鍋は楽しい

ぐつぐつと熱い鍋をテーブルにのせて

部活のノリで 取り箸なんてのは使わず

それぞれ自分の箸で鍋から とんすいによそう

 

美味しそう 食いしん坊の私は 

欲張って大きな一口を ぱくり

ただ

あんまり熱くて そのまま噛まずに飲み込んでしまった

 

 

あ あ あ

 

喉に違和感

 

「骨刺さったー」という私に

 

みんなが

「何ばかやってるの」

「硬いもの飲み込んたらはずれるよ」

 

そう、こういう時はご飯粒を飲み込むといい とは聞いて知っている

 

生来慌て者で食いしん坊な私 

幼少期から骨を喉に 突き立てることがしばしばあったが

その度に両親から

「ご飯粒を飲み込みなさい」と言われ

どうにか ことなきを得ていた

しかし生憎 その日の献立の中に米粒はない

 

仕方がないので

白菜、ネギ、などなど

手当たり次第に飲み込んでみる

 

けれど

とれるどころか 

どんどん痛くなってくる

 

無理だ

下戸でお酒を飲んでいなかった友人に頼んで

そのあたりで一番大きい総合病院に 車で連れて行ってもらう

が 週末なので もちろん 夜間の救急外来のみ

 

待合室で待つ間

ついてきてくれた友達が

隣に座って話しかけてくれるけど

 

「あー」 「うー」 「はー」 と 一音のみで返事

 

唾を飲み込むだけでも痛いので

どんどん無口に そして

めっぽう目が据わってくる

 

やっと診察室の中に呼ばれると

私と同い年くらいの 

若者3人が 待ち構えていた

 

大きく口を開けてと言われ

私が うがー と開けた口を順番で覗き込む

 

「鮭の骨って柔らかいから 普通は刺さらないんですよ

少なくとも見えるところにはないですね 

カメラ入れましょう」

 

その頃はまだまだ ぶっとかったカメラを口に入れられて

ぐりぐりと

吐きそう でも それも痛くて無理

 

 

「ないです」

「ないよねー」

「ないない」

 

画像を見る3人に

つぎつぎ そう言われ

 

「でも、絶対に刺さってるんです、痛いんです」

なんて 長文を

喋るには痛すぎて 発声もままならない

 

一人が

「すみません、専門でなくて

平日に耳鼻咽喉科に行ってください」

と すごく申し訳なさそうな顔をした

 

 

意気消沈するような診察料を支払い 

(保険証を持っていなかった)

喉のみならず懐まで痛い

すごすごと保養所に戻ったものの 

何一つとして解決はしていない

 

友達が私たちの分の夕食をとっておいてくれていたけど

食べるどころではなく

「うーあー」とだけ言って布団に入った

 

喉の痛みはどんどんひどくなり

咳をすれば血が出るし

唾を飲み込むのも痛くてたまらないから

眠るなんてとんでもない

 

散々な夜を過ごして

自宅に戻り

もう一晩も

同じように うんうん言いながら過ごして

朝になると同時に

近所の耳鼻咽喉科に飛び込んだ

 

おじいちゃん先生が

半泣きになっている私の

喉を見るなり

 

「あー、両端が刺さって つっかえ棒みたいになってるねえ

鮭だって アラは鋭いから気をつけなくちゃ」

 

と、ピンセットで 

ものの10秒もかからず 抜いてくれた

 

 

食いしん坊は

熱々とアラには気をつけるべし

と 心底思ったのでした