JuniperBerry’s diary

日々感じたことや ふと思い出した事を 書いてます

アイルランドで松平健になる

 

 

懐かしの

暴れん坊将軍』のオープニングで

松平健演じる徳川吉宗

朱色フサフサの飾りをつけた白馬に乗って 

海辺をパッパカ駆け抜ける姿

 

この映像を見て

 

気持ちいいだろうなー

馬に乗って浜辺を駆けて見たいものだわ、と思ったのは

私一人ではありますまい 

 

実は、その夢、叶いました

アイルランド

 

ただ、私が徳川吉宗ではないからでしょうか

なんか 思ったのと かなり違ってましたけど

 

ダブリンに秋風が吹き始めた頃

厩舎オーナーのホリーに

「海岸で外乗するけど 行く?」 と誘われました

 

私の脳裏には

暴れん坊将軍の颯爽とした姿が浮かび

 

すぐさま

「いくいく!」と答えたのは言うまでもありません

 

当日はアイルランドらしいお天気で

(曇り空時々小雨?)

風はなく、穏やかな外乗日和

 

参加者7名

それぞれが現地集合

(私はホリーに車で連れて行ってもらい)

馬運車に乗せてきた馬達を浜で馬装します

 

広々とした海岸に人の姿は見えず

思い切り馬を走らせることができそう🎶

 

期待はぐんぐん高まります

馬達も潮の香りを嗅いで

蹄で砂を掻いたり、他の子にちょっかい出したり

ちょっといなないてみたりして

ウキウキ走りたくて仕方のない様子

 

私も とうとう 女暴れん坊将軍 実現だー! と期待いっぱい

 

もちろん、外見はかなり違うけど 

(Gジャンに乗馬用ジョッパーズ、AEGLEのゴム長)

 

 

そしてみなさんひらり(?)と馬にまたがって

全員騎乗

 

ホリーが「あそこの岩ま…」と

最後まで言い終わらないうちに

 

待ちきれず

一頭の馬が駆け出した

 

この時ほど 馬は群れを作る動物なんだ

馬がいるから競馬がある と

実感したことはありません

 

先頭の馬を追いかけて

我先にと 波打ち際をひた駆ける 馬 馬 馬

 

将軍気分はどこへやら 

ただただ手綱に全体重をかけて 引っ張って

どうにかスピードを落とそうとするけれど

前の馬のお尻に人参がぶら下がってるのかと思うくらいに

 

「制御 どうにもこうにも 不能

 

そして私、この時初めてギャロップを体験

(*ギャロップ=馬の脚全てが地面につかない瞬間がある、最も速度の速い駆け方)

 

同時に、前の馬の蹴り上げた

濡れた砂が私の顔面向けて

これでもか! とばかりに 投げつけられる

 

前を向けば泥

目を閉じれば恐怖

口の中はジャリジャリ

 

速度さえ落とせないのに

行き先のコントロールなんて、できるなんて思う方が無理なんです

 

せめて泥だけは目に入らぬよう

下を向いて馬に全てを任せることに

 

手綱どころか馬の首に抱きつくようにして

(本当はこの体勢がまずかった)

「どうぞ気のすむままお走りください」の心持ち

 

やっと速度が遅くなった と思ったら

全ての馬が 走るだけ走って気が済んだのか

速度を落としてトロットになっていた

 

よかった、生きてた

 

先生達が後からのんびりやってきて

(実は、この浜辺に何度も外乗に来ていて

どこまでなら行っていいか どこから引き返すかを

馬の方がよく知っていたらしい

なるほどね 道理で私以外の誰として 慌てていない)

 

みんな集まって互いの姿を見て爆笑

先頭の馬に乗った人以外 全員が頭から足の先まで泥だらけ

もちろん馬も泥だらけ

 

「海に乗り入れて泥を落としましょうか

行きすぎて自分が濡れないようにね」

 

みんなで馬を海にザバザバと乗り入れる

 

暴れん坊将軍みたいに格好良くは乗れなかったけれど

波打ち際を馬で歩くのはとっても楽しい

 

なんたって自分は濡れることなく

自分の行きたい方向に馬を進めて

海の風景を楽しめるのだから

(そして前から泥を投げつけられることもない)

 

 

急に何か音がして 後ろを振り向いた

 

そこには馬がポツネンと立っている

 

ん? 馬だけ?

 

え? と思って辺りを見回すと

乗っていた子がやけに下にいる

 

彼女、海に尻餅をついて

苦笑いをしていた

(馬が何かに驚いて跳ねたらしい)

 

ええー どうしたの?

大丈夫?

みんなが わやわや集まってきて

 

彼女もびちょびちょのまま大笑い

 

 

 

そんなこんなで

笑いありハプニングあり

山ほどの洗濯物ありの外乗でしたが

 

あまりの楽しさに

この後も何回か参加しました

 

(前の馬の真後ろを避け

泥跳ねを「それほど」受けずに

走らせる事ができるよう

さすがの私も学習しました)

 

ただ、何度経験を積んでも

「馬の気持ちの赴くまま」でしたけど

 

斯くして、私の「女暴れん坊将軍になる!」体験は

足の先から頭の先まで泥だらけ にて

一件落着 なのでございました