JuniperBerry’s diary

日々感じたことや ふと思い出した事を 書いてます

竹林のある生活

 

 

実家の家のすぐ横に築山があって

その昔、誰かが

「ここに竹があったら風流ではないか」

とでも思ったのか

 

竹を2、3本

隅っこの一角に植えたそうだ

 

竹は どんどんどんどん地下に茎を伸ばし

今では実家の西側敷地全面が竹林になってしまった

 

竹の勢いは

 

柵があろうと 石塀があろうと 家があろうと

何があろうと止まらない

 

昔話か何かで読んだみたいに

実家の土間の床から 筍が生えてきたこともある

 

だから 春の筍シーズンには

家を守るため 

筍堀りに精を出す

 

そんな厄介者扱いの竹林なのだが

 

大人達の苦労も知らず

私はこの竹林をいたく気に入っていた

 

若い頃は 他はいいから

この竹林のある築山だけ欲しい

と 思っていた

 

築山の真ん中に

私専用と勝手に決めていた

居心地の良い石がある

 

晴れた日には

アオキの茂みを押し分けて

築山のてっぺんの石に寝転がる

 

竹の葉の隙間を通って

光がちらちらと揺れながら降ってくる

目の前が 緑色をした光の濃淡でいっぱいになる

 

暑い日差しを遮る竹の葉の天蓋の向こうには

モザイクのような青空

 

竹の葉で覆われた地面は

歩くたびに乾いた音がする

足を蹴り上げると

乾いた葉が 薄紙のように舞い上がる

 

雪の降る日は周囲から音が消える

雪が音を吸い取ってしまうから

ただ、竹林に降る雪は 葉に積もり

葉から葉に落ちて 囁くような音をたてる

 

外と内とを障子窓だけで遮った

恐ろしく寒い田舎の小部屋で

雪の音に耳を澄ます

 

そんな時の私は

凍えるほど寒いということを 一瞬忘れてしまう

 

 

 

竹の林の根元から

天を見上げない生活になってから

もう何年になるだろう

 

京都は竹で有名だというから

もしかしたら

 

中に足を踏み入れたらさいご

時間を忘れてしまうような竹の林が 

どこかにあるのかもしれない