JuniperBerry’s diary

日々感じたことや ふと思い出した事を 書いてます

ハンティングシーズンが始まった 2

 

 

ハンティング当日

お天気はアイルランドらしく曇り空

 

スタート地点に馬運車が次々と集まってくる

 

「久しぶり」とか「新しい馬房車を買ったんだ」とか

楽しげにおしゃべりしながら馬の装備を整える 

和気藹々の

乗馬の正装をまとった老若男女、総勢50人程

 

男性が7割、女性3割

さすがに小中学生がいないのは

乗馬社会の社交の場みたいなものだからでしょうか

 

乗馬用のジャケットは

緑色やチェック柄が多いのはお国柄

アイルランドといえばグリーン🍀)

 

これがイギリスだったら

真っ赤なジャケットで埋め尽くされるのでしょうね

 

ホリーの厩舎からハンティングに参加するのは

ジョッキーのお父さんと

娘さんで障害馬術選手のデイジー

ステイブルボーイのトム

そして私の4人

 

いつも泥だらけの格好で

笑顔で冗談ばかり言っているトムも

今回はきちんとしたジャケットに

髪までなでつけていて

初め、誰だかわからなかった

 

さて、私の相棒です

その日私が乗るのは栗毛の穏やかな女の子

いつもと違う様子にも神経質になることなく

おっとり穏やかに立っていてくれる

 

(実はこれってすごいこと さすがホリーの見立て)

 

 

そして、沢山の

犬犬犬犬犬ーーー!

 

映画などから得た私の貧弱な知識では

ハンティングにはビーグル犬と思っていたけれど

 

その場に集まったのは種々様々な犬たち

毛の長いのやら背丈ちょっと高めのとか

 

なにしろ、どこからこれだけ集まってきた? 

ってくらいの犬の数

 

(犬にとってもハンティング参加は

良い経験なのかもしれません)

 

 

初めてのハンティングに

緊張しながらあたりを見回していると

 

急に誰かが大声で何かを言い

犬の吠え声が続き

 

 

どどどどど と地響き

 

 

馬の波が一気に動き出した

 

 

そして後にぽかんと立ち尽くす私

 

 

置いてかれてしまった……

 

 

他のみんなが我先にと駆け出していくのに

足元の草の味見を試みるとは

私の相棒は 本当に 群れを作る動物 なのか? 

 

遅れて見失ったら迷子になってしまう……。

慌てて相棒の腹に踵を食い込ませ

 

「ほらいけそらいけ」と掛け声をかけるも

 

彼女は焦らず急がず

柔らかなトロットでのんびり我が道を行く

 

 

実は私の他にも、もう一人、遅れをとった人がいた

私よりも10歳くらい年上の女性

 

二人で「仕方ないね、動かないんだから」と

顔を見合わせ

遠ざかる馬の群れを見送った

 

外乗と思えば気持ちがいい

広々とした草原を、のんびりと馬を進める

なんか、まるで映画みたいじゃない

 

一人じゃないから気持ちも軽い

 

ところが、その彼女

途中で友人に偶然出くわし

そのままリタイアしてしまった

(そんなアバウトでいいのか社交界

 

「じゃあねー、ハンティングを楽しんで」

 

去っていく彼女と

呆然と見送る私 (本日2回目の呆然)

 

 

草原にたった一人

 

どうする

 

トムの姿はもちろん、前にも後にも知り合いの姿はない

あれだけ騒がしかった犬の鳴き声も聞こえない

自分がアイルランドのどのあたりにいるのかさえわからない

 

 

もう半泣きです

 

 

とぼとぼと、草原の中の一本道を栗毛の馬を歩かせる

お尻が鞍の形になりそう

 

 

どうやって帰ろう

ダブリンまで馬に乗って帰る?

それは無理

車も通るし横断歩道もあるし

舗装した道路は馬の脚にとってもあまり良さそうじゃない

 

連絡しようにも携帯持ってないし

『ハンティング参加の日本人迷子になる』

ローカルニュースになりそう

 

そんな事を考えてどんよりしていると

人の声が聞こえてきた

 

もしかして? 

 

もしかした🎶

 

前方に、馬の姿が10頭程!

 

追いついた!

(どうして? 嘘みたい)

 

喜んだのも束の間

なぜ追いつくことができたのか

その理由がその先にあった

 

ハンティングは障害馬術

茂みを飛び越え、柵を乗り越え

獲物(今回はぬいぐるみ)を追う

 

その障害が目の前にあった

 

茂みと茂みの間に渡された

高さ1mほどの柵

 

両脇の茂みは高さがあり

柵の幅は狭い

 

1頭ずつ飛び越えるしかなくて

みんな順番待ちをしていたのだった

 

1mの柵 行けるか?

行けない 無理 絶対無理

 

50cmハードルで落とされてる私

絶対に飛越できない自信がある

 

そしてここはアリーナじゃない

地面は硬い

その上、柵の向こうは緩い坂になった砂利

落っこちるにしても

条件悪過ぎ

 

 

乗馬初心者、棄権して良いですか

 

 

迂回路がないか必死に探す

ない

 

ここは恥を忍び

馬から降りて歩いて越える?

 

 

その時

 

「あーいたいた」

とのんびりとした声

 

 

声の聞こえる方を見た途端

本気で

涙が出そうになった

 

 

私をサポートしてくれる(予定だった)

トムのアイルランド人らしい笑顔がそこにあった

 

 

そして、絶対にこの柵を飛び越えない!

と決意した私に向かって

柵の攻略法を教えてくれる

 

いや、いや、私は自分の足で乗り越えます

だから私の代わりに

この子に乗って柵を飛び越えてもらえません?

 

 

もごもご口の中で言っているうちに

私の番がどんどん近づいてくる

 

 

とその時、奇跡が起こった

 

 

一頭の馬が柵に接触して

柵が茂みに突き刺さる感じで

半分横倒しに

 

高さ70cm

 

難易度の低くなった柵を

馬が次々と飛び越えていく

 

 

トムが

行け! と言う

 

 

すると、あれだけ

走るのを嫌がっていた栗毛が

 

トムの指示を聞いた途端に

 

ぱかぱっ と走り出し

 

柵を越えた

 

 

そして私は

 

サーカスみたいに、馬に直角な感じで

 

着地

 

半分落ちそうになっていた体勢をどうにか立て直し

何が何だかわからないけど

落ちずに済んだことだけはわかった

 

 

3 につづく(長くなってすみません)